一般社団法人 日本運動器科学会

運動器不安定症について

「運動器不安定症」に関する見解

「運動器不安定症」定義・診断基準改定(3学会:27.12.10)

I 定義

高齢化にともなって運動機能低下をきたす運動器疾患により、バランス能力および移動歩行能力の低下が生じ、閉じこもり、転倒リスクが高まった状態

II 診断基準

下記の、高齢化にともなって運動機能低下をきたす11の運動器疾患または状態の既往があるか、または罹患している者で、日常生活自立度ならびに運動機能が以下の機能評価基準に該当する者

機能評価基準
  1. 日常生活自立度判定基準ランクJまたはAに相当
  2. 運動機能:1)または2)
    1)開眼片脚起立時:15秒未満
    2)3m timed up-and-go(TUG)テスト:11秒以上
高齢化にともなって運動機能低下をきたす11の運動器疾患または状態
  • 脊椎圧迫骨折、各種脊柱変型(亀背、高度腰椎後弯・側弯など)
  • 下肢骨折(大腿骨頚部骨折など)
  • 骨粗鬆症
  • 変形性関節症(股関節、膝関節など)
  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 脊髄障害(頚部脊髄症、脊髄損傷など)
  • 神経・筋疾患
  • 関節リウマチおよび各種関節炎
  • 下肢切断後
  • 長期臥床後の運動器廃用 ・高頻度転倒者

注:日常生活自立度ランク
J:生活自立   独力で外出できる
A:準寝たきり  介助なしには外出できない

【改訂理由】

「運動器不安定症」の診断には、運動器疾患が主因であること、ならびに定められた機能評価基準に該当すること、の両者が満たされなければなりません。従来の定義ではこの点が幾分曖昧であり、歩行移動が困難な寝たきり(日常生活自立度:ランクB,C)に該当する方々も「運動器不安定症」と診断される可能性を排除できませんでした。
このような混乱を避けるため、「運動器不安定症」を策定した3学会が合同で協議し、定義・診断基準をより明解なものに改訂しました。(平成27年12月10日)

PAGE TOP ▲